春風一刀 独占インタビュー(3)

後輩たちにお年玉をあげなきゃいけない立場に(笑)

 

― この度の二つ目昇進、おめでとうございます。二つ目昇進の知らせは、いつ、どこで受けたのですか。また、そのときの感想を教えてください。

 

上野の昼に入ってまして(鈴本演芸場での昼席で仕事。「今日、理事会があるらしいですよ。兄さん、今日決まるんじゃないですか?」って他の前座に言われて。「いやぁ、どうかな。来年じゃないかな」って。僕自身、来年だと思ってたんですよ。そしたら(桃月庵)ひしもち(※)が入ってきて「兄さん、二つ目決まりました!」って。僕は「なんで、俺はお前から聞かなきゃいけないんだよ(笑)。普通は師匠から聞くもんだろう(爆笑)」って。

 

 

― ひしもちさんは、どなたから聞いたんですかね?

 

仲間のLINEだそうです。たまたま協会(落語協会の事務所。黒門亭の下)に行ってた別の仲間がいて、その人からLINE連絡網で回ってきたと言う。

 

― その時の心境は?

 

うれしかったですね。と同時に不安も半分。11月昇進てことはすぐお正月です。そしたら後輩たちにお年玉をあげなきゃいけない立場になりますからね。やだなぁ~って(笑)

 

― 前座仲間。朝太郎さんと同期の噺家さんは、どなたになるのでしょうか。

 

本当の同期は、今度一緒に二つ目に上がる(林家)たま平(※)ですが、近いところで言いますと(三遊亭)歌実兄さん(※)から、(桃月庵)はまぐり(※)までは同期と言っていいんじゃないかと思います。

 

※ 桃月庵ひしもち:桃月庵白酒師匠の二番弟子。

※ 林家たま平:林家正蔵師匠の弟子であり、実子。一刀さんと同時昇進。

※ 三遊亭歌実:かじつ。三遊亭歌之介師匠のお弟子さん。2017(平成29)年5月21日に二つ目昇進。

※ 桃月庵はまぐり:桃月庵白酒師匠のお弟子さん。前座。一刀さんと大の仲良し。

 

― いま、一番気になる二つ目さんなどいますか?

 

たくさんいます。でも、一人挙げるとすれば小痴楽(※)兄さんです。華やかですてきです。噺も面白いし、恰好がいい。協会が違うため、会う機会が少ないから、残念です。

 

新作だと粋歌(※)姉さんが好きですね。ソデで聴いてて衝撃でしたね。あとは一緒に修行した先輩たちも気になります。特に小はぜ兄さん。ザ・柳家。柳家の王道って感じで好きですね。芸協ですと(雷門)音助(※)兄さん。音助兄さんも「雑排」をお持ちで、前に聞いたときにヤバイと思いました。音助兄さんの「雑排」はヤバイです。あとは、まだ前座ですけど(柳家)小多けと(桃月庵)はまぐり(※)。二人とも生意気でむかつきますが、噺は好きです。

 

 

※ 柳亭小痴楽:第7回のくがらく出演者。イキが良くて粋な若手噺家。将来、落語芸術協会を背負って立つ名人になるだろうと思われます。

※ 三遊亭粋歌:三遊亭歌る多師匠のお弟子さん。特に新作で衆目を集める女性噺家。二つ目。

※ 柳家小はぜ:柳家はん治師匠のお弟子さん。ザ・柳家のDNAを継承する、大注目の二つ目。

※ 雷門音助:落語芸術協会の実力派・二つ目。端正な話術と技量は、さすが雷門助六一門。

※ 柳家小多け:柳家小里ん師匠のお弟子さん。

 

― 前座時代も、10月まで。振り返っていかがですか。

 

とにかくポンコツな前座でした(苦笑)。楽屋働きも全くといっていい程、できませんでしたから。一朝一門と言うと、柳朝、一之輔、三朝、一左一蔵朝之助と、どの兄さん方もみんな“よくできた前座”だったわけです。落語はもちろん、太鼓は上手く叩ける、着物の畳み方も早くて上手い。気が利いて、楽屋働きが素晴らしい。その一門からすると、僕なんて完全なる落ちこぼれ前座です。不出来だった分、先輩たちに可愛がっていただきました。飲みに連れていっていただいたり、仕事をいただいたり。ありがたかったですね。本当に感謝しかありませんね。

 

― いわゆる、優秀な立て前座ではなかったのですか?

 

いえ、もう全然。周りに助けられてばかりいました。

 

― 今回は、「囀や」さんを介して、このようにご紹介いただきました。「囀や」さんとの出会いは?きっかけはなんだったのでしょうか? 

 

(橘家)かな文(※)です。小痴楽兄さんがはじめた「前座四人会」か、太鼓の勉強会か何かに、かな文が参加して、それで。彼に「兄さん、勉強会やりましょうよ」と誘われて、ですね。そっから始まったのが定期的に行ってきた「彦六一門前座勉強会」ですね。

 

※ 橘家かな文:たちばなや かなぶん。三代目橘家文蔵(当時、文左衛門)師匠のお弟子さん。前座。

 

お前が師匠の前座時代の『朝太郎』って名前をもらった弟弟子か!

 

― 朝太郎(一刀さんの前座名)というのは一朝師匠の前座名で、一朝一門は入門すると、まず師匠の名前の「一」を戴くか「朝」を戴くか…「どっちにする?」と、師匠から尋ねられるそうですが、なぜ「朝」を選ばれたのでしょうか。

 

大師匠が、五代目春風亭柳朝で、師匠が一朝ですから、朝を選びました。名前をいただいたときのエピソードもおもしろいというか、ありがたいというか(笑)。普通は入門して半年くらい経たないと名前をもらえないと思うんですが、僕の場合は違ってました。先ほどもお話したように風月堂で親との面談の後、地図を渡されて初めて師匠のうちに行ったときのことです。

 

玄関で、師匠のおかみさん(歌舞伎役者、五代目片岡市蔵の娘)に挨拶して、畳の部屋に通されて。座布団を出されて。「ほら、座布団あてろ」って。普通は正座しますよね。ところが、うちの師匠は「うちの中では正座しなくていい」っていうのがポリシーでして。でも、やっぱり「はい」って言って正座して座ったんですよ。そしたら「正座しなくていいって」と。

 

僕としては試されてるのかな?と感じたので、また「はい」って言って正座したまま座ってました。そしたら「(正座しなくて)いいってんだろ!!」って怒られましてね(苦笑)。まぁ、江戸っ子だから気が短いし、曲がったことが大嫌い(笑)。

 

それを隣で見ていたおかみさんが笑いながら「そうだ、名前付けてあげなきゃね」って突然言い出して。初対面の日に、いきなり!そしたら師匠が「一がいいか、朝がいいか?」と。「朝がいいです」 「珍しいね。みんな一を選ぶけどね」と。で、メモ帳に「朝」と書いた後、うーんと考え込んで。「きみは七番弟子だから…」っていうと、その朝の文字の下に「七」って書いたんですね。

 


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。一刀さんの素顔、そして本音。

 

春風一刀 独占インタビュー(1)

春風一刀 独占インタビュー(2)

 

春風一刀 独占インタビュー(4)

春風一刀 独占インタビュー(5)

春風一刀 独占インタビュー(6)

 

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