第15回「三遊亭わん丈」さんの回

「わん丈、半端ないって!」。そんな圧巻の2時間

第15回わん丈さんの回。

 

私たちの地元・久が原。会場である久が原会館までの商店街・ライラック通りを面白おかしくいじってくれたのち、滋賀のお母さんの鉄板ネタ、最近の事件(ドンファン絡み)の実録・実体験なおもしろマクラを縦横無尽(まさに文字通り縦横無尽)に操って、客席を翻弄。

 

いや、翻弄と言うと表現が違うかもしれません。レールのないわん丈ジェットコースターに載せられた110名が、上に下に右に左に揺られながら「わー!きゃー!」叫んでる印象。

 

開口一番、その日のお客層や反応を探るのは、どなたもやることですが、とても自然でドキドキよりもワクワク感が勝っていました。おしゃべり大好きわん丈さんの真骨頂、成り行き任せ(に傍からは見えるが実は?)に見えるお喋りマシンガン炸裂。

 

これは楽しみな始まり。スタッフとしては大船に乗っている感じ。不安なし。(不安は、というか私たち運営側のしくじり。大反省点。出囃子が上手く鳴らなかった点。CDラジカセを刷新しなければ…いけないかもしれない。わん丈さん、お客様、誠にすみませんでした!)

 

一席目は、ご自身の新作ラインナップから、小手調べ(?)。「プロポーズ」。「新作から聞いてもらいたい」とのご意向。こちらとしては(そう来たか!という気持ち。そして、今夜のわん丈さんの噺、三席の組み立てはなにかしら?というさらなるワクワク感でいっぱい)。

 

28歳の純な青年が歳の差60歳の彼女(つまり68歳)に求婚する異色の新作。おばあちゃんとの歳の差を笑いに変えるのですが、冒頭のご自身のご家族(ご両親、祖母)のリアルマクラが効いているから、素直に笑える。面白い。不整脈とか、還付金詐欺とか、動悸とか。どこでもウケる鉄板の新作。

 

続いて一転、古典も古典。大古典の「五貫裁き」をもってきたわん丈さん。異色なのは、ここでお金の話をしたこと。一文を今の貨幣価値で言うといくらか(15円位らしい)、一両を今の貨幣価値で言うといくらか(15万円位らしい)、をお客さんとのコミュニケーションを通して、全客席で共有。すごいテクニック。これでお客様は、これから出てくる江戸の貨幣価値をしっかり頭に入れて噺に没入できるという寸法。わん丈さんの寸法、わん寸法(くがらく命名)。

 

「五貫裁き」とは、大店の旦那が一文を惜しんだために、最終的に二十両を損してしまうという、所謂“江戸の風”が吹き荒れる大岡政談。正統的な大古典。しかし、江戸の風が吹くわ(啖呵、台詞回しが立て板に水!)し、現代風の風が吹くわ(「昼寝・夜どんどん」ってキーワードがもうバカ受け!)、もう完全なるわん丈ワールド。

 

正直言いまして、「五貫裁き」という噺は初めて聞く人にとっては理解したり、噺に入り込むのが難しいほうのうネタだと思っていたのですが、そんな浅はかなこちらの先入観を気持ちよく覆す“わん丈裁き”。今夜聞いたことで、実は「三方一両損」よりも面白いネタなのでは?と思えてきました。これから若手の間で流行ったりして。ちなみに、三遊亭圓生師(わん丈さんの大師匠)は、この噺を「一文惜しみ」という題で演っています。

 

もうこの「五貫裁き」の客席把握感、客席統率感、お客様との一体感がハンパなかった。

 

仲入りを挟みましてトリネタは喜助、杢兵衛大尽、喜瀬川花魁の三すくみが面白い「お見立て」。シュッとしているわん丈さんなので、田舎感丸出しの杢兵衛大尽よりも、板挟みで翻弄される喜助や、大嘘を考えだし、裏と表を使い分ける狡猾な喜瀬川花魁のほうがわん丈さんのキャラクターにあってる気が。その二人の時の方が笑いが大きかったし多かったし。

 

と思いきや、最後の墓参りのシーンでは杢兵衛大尽、わん丈大尽が大ウケ。お子さんから年配の方まで、みんなゲラゲラ笑ってました。

 

音曲こそないものの、漫談あり、新作あり、古典あり、お客様との会話あり、豆知識の勉強あり。独演会ですが、まるで本物の寄席にいる感覚を覚えました。(ここ最近の流行語で言えば完璧に「わん丈、半端ないって!」な印象でした)。

 

わん丈、半端ないってもぉー!アイツ半端ないって! 初めての120人、めっちゃ心つかむもん。そんなんできひんやん、普通。そんなんできひんやん普通、そんなんできる? 言っといてや、できるんやったら…。新聞や、もう全部新聞や。(地元のメディアに)撮られたしもう…。また三席やし。またまたまたまた三席やし。新作やし、古典やし。マクラ最高におもろいし。わん丈うまいなぁー。どうやったらわん丈(のお喋り)止めれるんやろ?あれは絶対に名人(と呼ばれる枠)に入るな。

 

な感じ。(元ネタは、「大迫半端ないって 全文」で検索なさって見てください)

 

時間的にはあっという間に感じましたし、これまでになく密度が高い時間に思えました。バラエティに富んだ約2時間。すべてわん丈さんの腕前・センス・度胸あってのことです。お客様も大満足だったのではないでしょうか。ありがとうございました。

 

くがらくスタッフ一同


第15回「三遊亭わん丈」さんの回 ご予約受付中!

編集部のとても個人的な感想ですが、個性的(古典落語に対して言えばアレンジ性が高い)お弟子さんが多い円丈一門の中で、もっとも古典落語と真正面から(正統的に)向き合い、端正に扱っているのがわん丈さんだと思います。一門は違いますが、柳家喬太郎師匠(円丈師を尊敬している落語家の一人)にも似た印象を受けます。古典と新作の両方をバランスよくこなせる噺家さんを目指しているのではないでしょうか。ぜひ、この機会に“わん丈落語”を体験していただきたいです。



〔日 付〕 2018 年 06 月 30 日(土)

〔時 間〕 開場18:30 /開演19:00( 1時間30分ほど。二席⇒お仲入り⇒一席の予定です)

〔出 演〕お招きするのは、三遊亭円丈師匠の十番弟子、三遊亭わん丈(さんゆうてい・わんじょう)さんです。古典も新作も手掛ける芸のしっかりした二つ目さんです。過去のくがらく出演者の、どの噺家さんとも違うユニークな経歴の持ち主。だからこそ、ここまで芸達者で華があり、爽やかなのかもしれません(※インタビュー記事公開中)。楽しく笑える、「あぁ、面白かった」と思っていただける高座になることを請け合います。ご予約お待ちしております。

〔会 場〕 久が原会館 2階(大田区久が原2-7 -17) ※  こちらが会場地図になります

 玄関でスリッパ(備え付け)に履き替えていただき、2階(受付)へお上がりください。

 すべて椅子席です(ムトウユニパック社製「エコ座布団」付き)/冷暖房完備/

 男女別トイレ(1階と2階それぞれに完備)

〔交 通〕 東急池上線 久が原駅 ライラック通り 徒歩12分

  東急バスを使ってもお越しいただけます。次の2つの路線が使えます。

  (1)蒲12系統 蒲田駅~田園調布駅  (2)森04・森05系統 大森操車所~池上駅前・洗足池

  停留所名はともに「久が原出世観音」。バス停から徒歩1~2分です。

〔木戸銭〕 1,500 円(当日、2階の受付にてお支払ください)

〔ご予約・お問合〕 くがらく 090-4824-9243 留守電の際は折り返し、ご連絡差し上げます

 電子メールアドレス : rakugo@miura-re-design.com