春風亭昇々 独占インタビュー(1)

高座の上で、面白おかしくブチ切れる登場人物を演じることが少なくない昇々さん(というこれまでの印象。一部ですよ一部)。もちろん高座の上と、取材のときとまったく同じではないだろうし、違って当たり前なのですが、これまでの誰よりも緊張して、この日を迎えました。というのも、事前に、このページ(※)を読んでいたからです。

春風亭昇々自分インタビュー

 

恐ろしいと思いました。シャレなのか、本音なのか。きっとシャレだろう。しかし、100%シャレでもないだろう。何パーセントくらいが本音なのだろうか。などと取材陣の頭の中を妄想がぐるぐると。…き、き、気を付けて質問しないと、ブチ切れられる(その可能性もゼロではない)と覚悟して臨みました。

 

で開口一番は…

 

あ、それガーミン(※)じゃないですか?僕も買ったんですガーミン。エプソンと迷ったんですけど、ガーミンの方がいいと聞いたので。ガーミンを使う人多いんですよね。

※ ガーミン:アメリカのGPS機器メーカー。GPS機能付きランニング用ウォッチでも有名。

 

(正直ホッとしました。取材班の一人がガーミンを付けていたのです。彼もマラソンランナー)

 

どれくらい走ってるんですか?フルマラソンはいつ頃から走り始めました?

 

― 私は週3回、月平均200㎞くらいです。今年ようやくサブ4(4時間以内にフルマラソンを走りきること)を達成しました。

 

あ、僕も目指しているんです。サブ4!

 

― なら、いっしょに走りましょう!

 

そんな感じで始まりました。今回のインタビュー。

 

読んでいただくとわかりますが「俺」と「僕」が混在している昇々さんなのでした。芯の強い豪胆な「俺な昇々」さんと、人当たりが柔らかく繊細な「僕な昇々」さんの2人がいる。そんな感じ。ソフトな外見と受け答えや見かけによらない意外性、型破りで破天荒な一面もお持ちのようです。

 

なお、今回はいつもと少し異なる構成です。昇々さんは日々、ブログを書いていらっしゃいますし、他誌でのインタビューも多い。ので、そことクロスリンクする形にしてみました。インタビューも、そのような質問の仕方で進めました。

 

「最近は、マラソンにはまっています」

― 最近、走ることが趣味になってきているようですが。

 

昔から走るのは得意で中学時代からよく走っていました。バスケ部で。技術はなかったですけど、足は一番速かったですね。1キロ5分30秒で、7㎞は走れますね。

 

― それは相当早い。キロ5分30はフルマラソンのサブ4ペースですよ。

 

ですよね。だから、そのうちサブ4、やってやりますよ。自分でも結構走れるなと思ってまして。このアプリで測定して走っています。

編集部注)2018/9/5現在では…。

 

― 速い!続けているのがすばらしい。ご自身で「僕は飽きっぽい」と仰っている割に走ることも継続中ですし、ブログは7年も続いていますね。

「なんでこんなブログがつづくのかと思ったんですけど、やっぱり考えるのが好きなんでしょうね」(2018年07月16日より)

 

もともと、新作落語にも、コントにもならないようなネタを延々と書いていました。書くのが面白くて。でも、ネタが続かなくて。去年(2017年)の年末くらいから、ネタじゃないこと、日々思っていること、日常を書くように変わってきました。

 

(自分でブログの過去分を眺めながら)しかし、俺凄いな、滅茶苦茶(たくさん)書いてるな。

 

― はい、凄いと思います。

 

日々、考えたり、思ったりすることが好きなんです。そして僕、メモ魔なんですよね。もう、すぐメモをとります。めちゃくちゃメモします。ノートもたくさん溜まっています。最近はもっぱらスマホですけどね。もうすぐスマホに入力します。メモの発端はマクラに使えるネタでした。でも俺、落語が上手くできなかったんで、気になったことをどんどんメモするようになっていきました。転機はNHKの新人落語大賞に出たときのことです。僕としては「自分が断然一番だ」と自信満々だったんですが、結果最下位(※)だったんですね。それで落語のやり方が自分の中でわからなくなっちゃって、メモをどんどんするようになりました。自分が正しいと思ってたことが違う!と感じて。

 

※ 2015(平成27)年度NHK新人落語大賞決勝戦(本選)での話。その一方、翌2016(平成28)年度NHK新人落語大賞では、同じく決勝戦に進出。惜しくも桂雀太さんに敗れる(点数はともに64点だった)。

 

― 真面目なんですね。

 

そうだと思います。

 

― 前座修業は、どんなところが苦痛でしたか? 

「よく前座修業したと思う。辛くて寄席以外の時間は寝てました」(2018年08月05日より)

 

僕は前座修業嫌いでしたね。仕方なくなってました。「(落語が)巧くなるのに必要なことなんだろうか?」という疑問はずっと持ちながら、「でも、やらないと落語家になれないし…」と感じながら修行していました。(性格上、そのことに対して何でも)意味を求めてしまうんです。このことが、俺を面白くさせることにつながるのだろうかとか。飽きっぽくて、何でも長続きしない。でも落語家は続けています。それだけ落語が好きなんでしょうね。

 

― なぜ関学に?

 

関東の大学には受からなかった。関西学院(かんせいがくいん)大学しか合格できなかったので。

 

― なるほど

 

僕、「目に見えない力」ってのはあると思ってて。いわゆる運命みたいなものって。

 

― といいますと

 

当時、この頃、興味深い偶然がいろいろと重なっているんですよ。

 

― 教えてください。

 

まず、高校の修学旅行の行き先が、911(アメリカ同時多発テロ事件)の余波で沖縄から関西(神戸・大阪)に変わってしまった。なので一度関西には行ったことがあったわけです。で馴染みがあった。

次に、当時、入試日が関西は関東よりも早かったんですね。で、僕の周りでちょっとしたブームみたいになってたんです。関西の大学を受験するのが。そんな中、友達が関西学院の入学願書を持ってきたんですよ。なんでかわからないんですけど。僕が取り寄せるのではなく、彼がなぜか持ってきてくれた。それでたまたま受験したら、たまたま合格。行くべくして行く。そんな風に入学しました。

 

― 入学して、そして落研・甲山(かぶとやま)落語研究会(※)へ。と

 

はい。お笑いがずっと好きだったんです。大学の新入生歓迎会で落語研究会の人から「見学に来ない」と誘われて行ってみたのがきっかけです。今でも同期、仲良しですね。お互いの会に行ったりして。大阪で落語会をやると、それまで面識のない先輩も来てくれます。絆は深いです。

 

甲山(かぶとやま)落語研究会:落語を好む有志が集まり、実演や諸々の研究を通じて落語との関わりを深めることを目的として1972年10月に設立された関西学院大学のオチ研。同会出身の落語家には桂文華(五代目桂文枝一門)、桂こけ枝(五代目桂文枝一門)、桂三扇(六代目桂文枝一門/甲南女子大学)、春風亭昇々(春風亭昇太一門)、桂華紋(桂文華一門)の5名がいる。このほか、落語作家の小佐田定雄、長唄囃子方の藤舎次生を輩出

 

― 当時から新作(落語が)好きだったのですか?

 

古典落語にそんな魅力を感じてなくてですね。新作をやりたいと思っていました。そんなとき、テレビでうちの師匠(春風亭昇太)を見て。ネタは「壺算」です。とっても面白かった。マクラも。マクラは大阪万博に行ったときの話でしたね。で、師匠のことを調べてみたら、新作落語も超面白くて。東京の人だし。もう師匠に弟子入りするしかない。俺はこの人の弟子になる運命だったんだ!くらいに思い込んでいきした。

 

 ※ 春風亭昇太:落語芸術協会協会理事、「笑点」の司会者。師匠が新作落語の名手と謳われた5代目春風亭柳昇。自身も型破りな新作落語で人気を博す。誰とも似ていない昇太流アレンジが効いた古典もまた最高。

 

― 入るべくして入った?

 

そうですね。なぜか、弟子入りを断られるとか一切考えませんでした。絶対弟子にしてくれるだろうと。今から思えば相当無謀ですけどね。変な思い込み、確信を持っていました。

 

 ― 「昇々」というお名前の由来を教えてください

 

由来は2つありまして。まず一つ。「自分で10個考えてきなさい。そこから選ぶから」というのがうちの師匠のスタイルなんですね。で、僕が考えてきた10個のうちのひとつ「昇々」が選ばれたというもの。正確に言うと、落研の友達のお母さんが思いついてくれた名前なんですけどね、「昇々」。で10個見せたら師匠が「俺は“小さく昇る”で『小昇(しょうしょう)』って考えてたんだけど、(同じ音でも)『昇々』のほうがいいか」ってなって言ってくれて。

 

― もうひとつの由来は?

 

これは師匠が他の人に語っていたんですけど。「(桂)雀々師匠が好きだから、弟子には「昇々」を付けたいと前から思っていた」って。この二つです。でも真実は最初の方だと思うんだけどなぁ(笑)。で、面白いのがあとから聞いたら、うちのおふくろも「昇々」ってのを考えていたらしいんですよね。

 

※ 桂雀々(じゃくじゃく):桂枝雀門下。「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」などを得意とする。関西では知らない人がいないほどの人気落語家。現在東京で活動中。

 

― 同時期に3人が!

 

そうなんですよ。「昇々」に向かって進んで行った。昇々になるべくしてなったって思いませんか?僕はそう思うんです。勝手な想像ですけどね。

 

― 真打に上がったらお名前はどうしますか?

 

多分変えないと思います。本当は二つ目に上がった際に変えようと思っていたんですけど良いのがなくて。

 


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。昇々さんの素顔、そして本音。

 

 

春風亭昇々 独占インタビュー(2)

春風亭昇々 独占インタビュー(3)

春風亭昇々 独占インタビュー(4)

春風亭昇々 独占インタビュー(5)

春風亭昇々 独占インタビュー(6)

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