第17回「立川笑二」さんの回

帰ってきた笑二さん。初のリターンズ大成功。

奇しくも自身2年ぶりの独演会も再開し、いま乗りに乗っている状態の笑二さんを2年ぶりにお迎えしての「くがらく」初のリターンズ企画。

 

開催日一か月前にはご予約で、ほぼいっぱいになり、そして2月23日当日。

 

笑二さんの出囃子「てぃんさぐぬ花」に乗り、笑二さん登場。

 

沖縄民謡としての「てぃんさぐぬ花」はこちら。ちなみに、「てぃんさぐ」とは鳳仙花(ほうせんか)のことで、てぃんさぐの花が爪先に染み込むように親の意見を肝に染めなさいと説いた沖縄を代表する教訓歌。

 

まずは、大阪十三でのお仕事、浪曲師・真山隼人さんの会での珍騒動。このマクラが、ことのほかおかしい。何度聞いても笑ってしまいます。

 

最初のネタは『花見の仇討』。1月末に上野広小路亭での月例独演会でネタ下しした一席です。上野広小路亭とはちがう雰囲気とお客層の中で、笑二版『花見の仇討』はどう花咲いたのか。

 

噺の方はと申しますと。

 

仲のよい4人組が集まって今年も花見の趣向。去年は5人いて(?)出し物は首つりでした。しかし、金ちゃんが…金ちゃんが…。ってことで、今年は巡礼兄弟の仇討に決定。もう、この出だしからして一般的な『花見の仇討』じゃない。開始1分でもう笑二版『花見の仇討』。

 

もともとが軽いネタ。濃くするかどうかは落語家さんの腕一つ(口ひとつ?)。仇討がストーリーの全体軸(縦軸)だとすると、それを脇でしっかり支えるのが笑二さんならではの金ちゃんエピソード。この金ちゃんエピソードが効きに効きまくる。

 

「今年も人が死ぬぅ!」なんてセリフで爆笑が起きるのは笑二さんの腕。笑いの中のスパイス、効いてるから噺が膨らみ、おかしいおかしい。今年になってネタ下ししたばかりとは思えない完成度でした。

 

と思っていたら、なんと二席目もおろし立てのネタ。1週間前にネタ下ししたばかりなのに、聞いたお客様が大絶賛しているという噂の『崇徳院』。もちろんこの『崇徳院』もしっかり笑二版に仕上がっていました。

 

序盤は若旦那と熊さんのやりとり。若旦那の「ひと思いに笑っておくれよ!」からどんどん話に笑いのドライブがかかって行き…。徐々に“みかんを顔で潰す気の毒なお方”を熊さんが大捜索する本編に。

 

…となるのが普通の『崇徳院』。

 

しかし、笑二版はひと味もふた味も違います。古典の世界の登場人物たちが現代的に生き生きと動き出してきます。

 

三軒長屋の大家の女将になれるかも!と思った熊さんの奥さんが本領発揮。中盤から主役は熊さん夫婦へバトンタッチ。聞いたことも無い崇徳院パートへと発展していきます。もう前代未聞!他の『崇徳院』との笑二版『崇徳院』との決定的なちがい。

 

若旦那を救うのは、この方法しかない!ないんだー!

 

熊さんの気のふれた感じの人探し方法を改めたのも奥さんだし、ネタの中で笑いを一番とったのも奥さん。だったかも知れない。本来のきれいなサゲは、そのままに。『崇徳院』でした。

 

 

最後。仲入りを挟んで黒紋付きで登場の笑二さん。

 

『花見の仇討』『崇徳院』と爆笑噺が二席続き、「さ、次は何の噺で笑わせてくれるの?笑二さん」な空気漂う会場。

 

後半の出囃子は最初と打って変わって「舌出し三番叟」。※長唄『舌出三番叟』はこちら

 

「最後は、目の不自由な方のお話でございます」という笑二さんの一言に、瞬間的にぴりりっと空気が張り詰めました。お客様も、前半とのちがいを感じ取ったのでしょう。

 

目が不自由になっても陽気な定さんの様子に最初はお客様たちもくすくす。しかし噺はハードな方向に進む。お得意の『景清』です。 徐々に徐々に『景清』の真髄に向かって行く噺。

 

右に出る者がいないほどの腕前、木彫師・定次郎の絶望、落胆、失望から、強がり、諦め、哀願。そして再起へと。

 

目が開かない定次郎の苦悩、お金を工面するのに苦労する母。親子の苦悩に共感し心を痛める石田の旦那。

 

気持ちの乱高下が激しい大ネタです。お客様の気持ちも揺られに揺られて、大満足だったのではないでしょうか。大きなカタルシスで感涙にむせぶお客様も。

 

ちなみに、2年前のくがらくでのトリネタは『鼠穴』でした。どちらも笑二さんの持ちネタの中でも屈指の“聞かせるネタ”で、笑いの中に涙、涙の中に笑いの大団円。

 

笑二さんのおっしゃっていましたが(今夜来て頂いてこの噺を聞いた)お客様の目も開きますように。おめでたい一席、万雷の拍手の中でのお開き。

 

笑二さん、今回も本当にありがとうございました。

 

なお、お客様アンケートも合わせてご覧ください。この日の満足度がおわかりいただけると思います。

 

くがらくスタッフ一同


<ちょっと落語メモ>『崇徳院』に出てくる歌

 

「瀬を早(はや)み 岩にせかるる 滝川(たきがは)の

われても末(すゑ)に 逢はむとぞ思ふ」

 

崇徳院(すとくいん):元永2~長寛2(1119~1164)年。第七十五代の天皇で、鳥羽天皇の第一皇子。母は中宮・藤原璋子(待賢門院)。この歌は、崇徳院が1150年に藤原俊成(しゅんぜい。定家の父)に命じて編纂させた「久安百首(きゅうあんひゃくしゅ)」のために詠まれた一首です。崇徳院は、弟の後白河天皇と対立した保元の乱に破れ、讃岐国に流されました。死後、怨霊になってあらわれたという逸話も残っています。落語のネタ(こんな情緒たっぷりの恋の歌を詠んだ人とは思えない)からは想像もできない恐ろしさですね。

 

保元の乱:1156年。皇位継承問題や摂関家の内紛により、朝廷が後白河天皇方と崇徳上皇方に分裂し、双方の武力衝突に至った政変。

 

 


第17回「立川笑二」さんの回、満員御礼。ご来場誠にありがとうございました!

2019年2月、「くがらく」に立川笑二さんが帰ってきます!2016年秋の初登場から2年ぶりの再登場。『くがらくリターンズ』と題しましての、初めての再登場(二度目のオファー)企画です。愛嬌のあるお顔立ちと、それに似合わぬ舌鋒、滑らかな口跡。バリバリの古典落語を現代人が聴いて大笑いできるのも、笑二フィルターの効いたアレンジ力(再編集力)の賜物。談笑師匠譲りの改作力は抜群で、初心者から落語通までを満足させる腕前です。滑稽噺メインだった2年前に比べ、今では人情噺・怪談噺へと芸域も大きく広がり、格段におもしろくなっている笑二さん。楽しさが確約された高座にご期待ください。


〔日 付〕 2019 年 02 月 23 日(土)

〔時 間〕 開場18:30 /開演19:00( 1時間30分ほど。二席⇒お仲入り⇒一席、終演予定は21:00前後です)

〔出 演〕次回お招きするのは、くがらく初の試み「再登場(リターンズ)」です。2年前にお呼びし、お客様より「また聴きたい!」とリクエストのあった噺家さんの中のお一人です。直近の高座を拝見いたしましたら、更なるパワーアップをされていました。沖縄初の落語家・笑二さんは立川談笑師匠のお弟子さん。「上手くて面白いスーパー前座」として話題をさらい、一般的に10年は必要なところ、入門3年目という異例のスピード昇進で現在二つ目。談笑師匠譲りの改作古典が巷でも大評判(爆笑!聞かせる!)です。将来の立川流を背負って立つ人になること間違いなしでしょう。初めての方は確実に楽しいので、どうぞご期待ください。二度目三度目の方は、日々成長している笑二さんを今回もお楽しみに!。

〔会 場〕 久が原会館 2階(大田区久が原2-7 -17) ※  こちらが会場地図になります

  • 玄関でスリッパ(備え付け)に履き替えていただき、2階(受付)へお上がりください。玄関が靴であふれることが予想されます。コンビニ袋などにご自分の靴を入れて会場に上がっていただくとスムースかもしれません。なお、靴袋はお客様ご自身でご用意ください。
  • すべて椅子席です(ムトウユニパック社製「エコ座布団」付き)/冷暖房完備
  • 男女別トイレ(1階と2階それぞれに完備)
  • おみやげ付き(無料):あずき飴と、くがらく特製「落語家家系図」を差し上げています。
  • 久が原会館近くにはコンビニや自販機がございません。ご了承ください。

〔交 通〕 東急池上線 久が原駅 ライラック通り 徒歩12分

  都営浅草線 西馬込駅 徒歩18分

  東急バスを使ってもお越しいただけます。次の2つの路線が使えます。

  (1)蒲12系統 蒲田駅~田園調布駅  (2)森04・森05系統 大森操車所~池上駅前・洗足池

  停留所名はともに「久が原出世観音」。バス停から徒歩1~2分です。

〔木戸銭〕 1,500 円(当日、2階の受付にてお支払ください)

〔ご予約・お問合〕 くがらく 090-4824-9243 留守電の際は折り返し、ご連絡差し上げます

 電子メールアドレス : rakugo@miura-re-design.com


主催:久が原落語友の会  後援:大田区