立川笑二 独占インタビュー(2)

「もう入門当時のように(師匠から)『才能なかったら辞めたほうがいい』とは言われなくなりました。」

― 話し方、仕草、高座での立ち居振る舞いなど、技術的な変化・継続・成長などは?

 

技術的な変化は、自分ではわからないですね。ただ、前は元気よく(高座での噺に)入って行きましたけど、それはなくなったかもしれません。最近は普通の調子で話し始めています。落ち着いてきましたね。

 

― 2年の間に、弟弟子のかたもだいぶ変わりました。努力を怠っていると廃業を迫られる厳しい談笑一門において、笑二さん自身まだ師匠の弟子であるという事は、傍から見ているほど当たり前でも簡単でもないと思います。

 

もう昔のように、入門当時のように、「才能なかったら辞めたほうがいい」とは言われなくなりました。ある程度認められたからだとは思っています。

 

それと、もう3番目(弟弟子※)が辞めていくのには慣れました(苦笑)。動揺しなくなりました。

 

※ 過去の弟弟子

立川笑笑(2015年06月廃業)

立川笑坊(2016年01月廃業)

立川笑ん(2017年12月廃業)

立川錦笑(2017年12月廃業)

 

― 2年前とは違う弟弟子と言えば談洲(※)さん。笑二さんとの絡みは時々ツイッターで拝見していますが、どんな弟弟子さんですか。

 

自分で勉強会も開いてますし、かなり積極的に動いているなとは思います。

 

― 同じく兄弟子・吉笑(※)さんとの関係で、なにか変化・成長はありますか?

 

吉笑兄さんがお酒を飲まなくなったので、兄さんと呑む回数は激減しました。いまは二カ月に一度くらいでしょうか。

 

― 吉笑さんらの創作ユニット「ソーゾーシー」や「成金」など、2年間の間にグループ活動する若手のかたたちが増えました。笑二さんはいかがですか。

 

相変わらず、そいういうことは何も考えていません。協調性も低いですし、私にグル―プ活動は無理かなと思います。別に尖ってる(人と交わることが嫌い)ってことじゃないですよ(笑)。性格的に向いていないと思いますね。

 

先日、志らべ(※)兄さんの真打昇進披露パーティがありまして、そのあと、同期4人で呑んだんです。がじら(※)兄さん、らく人(※)兄さん、私、寸志(※)さん。2か月ずつ違うほぼ同期の仲間なんです(以前、広小路亭で「ねただし前座 立川流同期四人の勉強会」やっていた4名)。この4人で年に一度くらいは呑みに行きたいなと思いました。(いっしょに)落語会(を開くの)は別にいいです(笑)。

 

※ 立川談洲:だんす。立川談笑門下。前座。ヒップホップ基本技能指導資格(小中学校でのダンスの授業の指導資格)を持つ。

 

※ 立川吉笑:きっしょう。立川談笑門下一番弟子。入門後 わずか1年5ヵ月で二ツ目にスピード昇進。倉本美津留(『ダウンタウンのごっつええ感じ』等を手掛ける稀代の放送作家)に見いだされるほどの才気。ギミックに富んだ唯一無二のオリジナル落語の使い手。

 

※ 立川志らべ:しらべ。立川志らく門下。2018年10月、真打昇進トライアルを経て真打に昇進。

 

※ 立川がじら:立川志らく門下。四人組の落語家ユニット「上州事変」のメンバー(林家つる子:高崎/立川がじら:前橋/柳家小もん:前橋/三遊亭ぐんま:渋川。全員が群馬県出身の落語家)

 

※ 立川らく人:らくと。立川志らく門下。鳥取県米子市出身。横浜国立大学卒。

 

※ 立川寸志:すんし。立川談四楼門下。大学卒業後、出版社勤務を経て、2011年8月、44才で入門。

 

― 2年前はマネジメント能力がないとおっしゃっていました。今はいかがですか。

 

2年前と同じです。いつも「誰か私を見つけて!(私の才能を)見出して!そしてマネジメントして!」と思っています(笑)。

 

「後輩の落語を聞いて面白いと思ったのは、かしめさんが初めてです。すごく面白かったです。」

― 最近影響や刺激を受けている噺家さん・芸能人などがいらっしゃったら教えてください。

 

最近では、かしめ(※)さんですね。こしら師匠のお弟子さん。先日の「トライアル」(二つ目昇進を賭けた落語会)で「金明竹(※)」を聞いたんですが、面白くて。後輩の落語を聞いて面白いと思ったのは、それが初めてです。すごく面白かったです。

 

※ 立川かしめ:立川こしら門下。入門当時の名は立川仮面女子(命名権オークションで、地下アイドルの仮面女子が落札したため)。元広告代理店の営業マン。

 

※ 金明竹:きんめいちく。骨董屋のおじさんに世話になっているぼんやりした男・与太郎。今日も今日とて、店番。そこにいろいろなお客が訪れてきて…。

 

― そんなときの心境は?「覚えたい」になるんですか?それとも「止めておこう」?

 

「(「金明竹」を覚えるのは)止めておこう」、ですね。

 

面白いなと思うと同時に、「あ、これが『金明竹』のやり方の、正解なんだろうな」と感じました。落語が上手いとかではなく、『金明竹』のやり方の正解を自分よりも先に見つけてやっている(教わってやっている)という感じ。悔しさもありますが、自分でそれ以上の手法がないと思ったわけですから、同業者として、そこには向かえませんよね。かしめさんを超える手法を自分で見つけたら別ですけど、そんな簡単ではないですから。

 

― そこにブレーキをかけられるというのが、プロとして尊敬します。くすぐり(※)ならいざ知らず、他の人の噺の面白いエッセンスを部分的に取り入れて自分のものにしちゃう、というのはやろうと思えばできるわけですから。

 

後輩ですしね。それに、これからどんどん高座にかけていくネタでもあるんでしょうから、教えてもらうわけにはいきません。逆に、師匠たち・兄さんたちには「教えてください」って言えますけどもね。

 

― それで「風呂敷」を。

 

そうです。こしら師匠の。同じように(舞台)袖で聞いていて面白かったんで「教えてください」と。

 

― その逆に、笑二さんご自身が他のかたに教えた噺はありますか?

 

かしめさんに「転失気(※)」、笑ん(廃業)に「道具や(※)」、あと、落語協会のある前座さんに「元犬(※)」ですね。

 

― ひとに教える作業と言うのはいかがですか?

 

変な楽しみはありますね。自分のネタは「自分のもの」として自分に沁みついちゃってるわけです。ある意味、自分の持ちネタは自分だからウケるんであって、私に自分自身に合うように変えちゃってる部分があるわけです。そんな“私サイズのネタ”を、果たして他の人が私から教わってウケるんだろうかという。その人の技量云々ではなくてですね。だから、教えてもやらなくなる人もいるわけですし。

 

― せっかく教えても?そういうものですか。

 

はい。1人1席くらいは「あの人に教わった、あのネタ。実はまだあげてない(※)んだよな」ってのがあると思っています。落語家あるあるだと思いますよ。それくらい、自分で「自分のネタ」にするというのは難しいことなんですね。間の取り方とかもありますし、教わったまんまやるのは簡単ではありません。

 

※ 転失気:てんしき。寺の和尚が往診に訪れた医師から「てんしき」があるかないかを尋ねられる。和尚は知ったかぶりをしてその場を取り繕い、小僧の珍念を呼んで「てんしき」の意味を探り出そうと画策するのだが…。

 

※ 道具や:ぼーっとしている甥の与太郎を心配したおじさん。自分が副業に屑物を売る道具屋をやっているので、商売のコツを教えて、商売道具を持たせて送りだした。しかし…。

 

※ 元犬:もといぬ。笑二さんの十八番中の十八番。白い犬が八幡様に願掛けして人間に生まれ変わった。ところが…。

 

※ 教わった噺を上げる:教わった噺を習得したらから「もう、高座でやってもいいよ」という許可を出すこと。「あげてもらう」=「やってもいいよ、というお墨付きをいただく」こと。本来は、このお墨付きが出ないうちにお客様の前でやるのはだめ。

 


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。笑二さんの素顔、そして本音。

 

立川笑二 独占インタビュー(1)

 

立川笑二 独占インタビュー(3)

立川笑二 独占インタビュー(4)

立川笑二 独占インタビュー(5)

プレゼントあり!「くがらクイズ」 笑二篇

 

※ なお、2016年当時「第9回くがらく 立川笑二インタビュー」ページはこちらです。2年前の笑二さんと今の笑二さん。読み比べてみてください。