立川笑二 独占インタビュー(4)

「俺たちは寄席にでれない(立川流は定席を持たない)んだから、1番バッターから9番バッターまで、どこの打席にも立てる落語家にならなくちゃいけない。」

― 現在の目標、これからのビジョン・計画などをお聞かせください。

 

太ったと言われるので痩せようと思っています。(体重が)もう何キロあるのかわかりません。

 

― 「こういう落語家になりたい」といったようなイメージは?

 

枝雀師匠(※)みたいに、いつでも絶対に笑わせることができる落語家に!とは思いますが、自分の落語家像としては、よくわかってないですね。ぼんやりしてますね。

 

※ 桂枝雀:しじゃく。上方落語の名跡。天才でありながら努力も欠かさなかった不世出の落語家。『東の志ん朝、西の枝雀』と称されることも。数々の名言の他、次のような独自の落語理論を唱えたことでも有名。例えば、緊張していた場が緩和することによって笑いが生まれるという「緊張の緩和理論」、あらゆる落語のサゲ(オチ)は4種(「ドンデン」「謎解き」「へん」「合わせ」)に分類できるなど。

 

― そういえば先日、沖縄で親子会がありましたが、いかがでしたか?

 

沖縄では三回目の親子会になります。大勢のお客様にはいっていただき、いつも通り盛り上がりました。師匠(談笑)も「やりやすい」っておっしゃっていますね。東京でやるのと変わらないって。変わらない感覚でできるって。今回は国立劇場沖縄で行われました。今回は250キャパ。前回は300席のキャパで昼夜公演でした。私の出身地である読谷(よみたん)から来たお客様も多く、うれしかったです。沖縄での開催は年3回のペースで、コンスタントに続けています。

 

― キャパと言えば、2年前は「毎月、上野広小路で独演会(※)をやっています。それを続けてどんどんネタ数を増やして、独演会のキャパを毎月300(300人のお客さん収容)まで上げたい。これが当面の目標」とお話ししていただきました。当時開いていた上野広小路での独演会が最近開催されていないように思います。その辺りのことを伺いたいです。

 

単なる不精です。すみません。会場を抑えることと、チラシを作ることが億劫で…(苦笑)。でも、2019年1月から再開いたします!また、毎月やっていきます。みなさん、ぜひおいで下さい。

 

※ 「立川笑二独演会」:2年間お休みされていたファン待望の月例独演会が帰ってきました!会場は以前と同じくお江戸上野広小路亭。再開第一弾は2019年1月31日(木)19時開演/18時30分開場。予約2000円/当日2500円。「お直し」と「花見の仇討」のネタおろし。

 

― それは良かったです。再開が楽しみです。しかし、億劫だったのにようやく重い腰を上げたのは、なぜですか?

 

面倒なだけで、やらなきゃ!とはずっと思っていました。師匠にも言われましたし。

 

― なんと?

 

「(笑二は)持ちネタの数も多いし、お客様から開催してくれって言われているのだから、定期的にやった方がいいよ」って。

 

― アドバイスはよくいただくのですか?

 

はい、沖縄でもそうでした。私は「猫の忠信(※)」をかけました。「狐忠信」という歌舞伎のパロディの落語なんですけど、その高座終わりに「元ネタの義経千本桜(歌舞伎)は実際に観た方がいいよ」とアドバイスをいただきました。

 

※ 猫の忠信:ねこのただのぶ。「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」、四段目の切り「河連法眼館(かわつら ほうげん やかた)」の場のパロディ。

 

※ 狐忠信:きつねただのぶ。浄瑠璃「義経千本桜」四段目の通称。 

 

― この2年間で心に残っているアドバイスなどありましたら。

 

よく師匠が言うんですが、「俺たちは寄席にでれない(立川流は定席を持たない)んだから、1番バッターから9番バッターまで、どこの打席にも立てる落語家にならなくちゃいけない(=呼ばれたところでじっかり結果を残せるようにならないといけない)。軽い噺から大ネタまでできるように。」という点は肝に銘じています。常に意識しています。

 

幅広い芸域を持ちたいですね。当時から変わらず「300人規模の会場で独演会が開けるように、そういう落語家になろう」と思っています。当面の目標ですかね。

 

― なるほど。ますます再開される月例独演会が楽しみになってきました。

 

「お客様と私の息とがぴたっとシンクロしている状態が最高に気持ちよい瞬間です。」

 

また、師匠には「落語はスピークではなくて、トークだよ(※)」と教わっています。一方的にしゃべるのではなく、(落語は)お客様とのやりとりだから。そこを感じられない人はダメだよ。」と。

 

※  speak … 言葉を一方的に発する「話す,演説する」。talk … 話し相手と「しゃべる,話し合う」

 

お客様を置いてきぼりしないように、高座中に「ここはゆっくり行こう」とか考えることもありますが、一番最高なのは、そんなことも感じないときの高座ですね。ゾーンに入るというか。お客様を見て気にして、(ああしようこうしよう〉と言うのは、ある種、雑念なわけで、その雑念のない、噺に一心に集中できているときの高座が一番だと思いますね。

 

― 無心の状態の時って、どう見えているんですか?客席は見えていない?

 

いいえ、客席が見えていないのとは違います。お客様の反応を気にしなくて済んでいるとき、お客様と私の息とがぴたっとシンクロしている状態ですね。

 

勝手なもんで、ウケないときはもちろんですが、ウケすぎても心配になっちゃうんですよ。ウケすぎると笑い待ち(※)しなきゃいけなくなり、間が微妙にずれたりすることもあるので。うれしいことなのですが、調整が必要になるという。程よいときが一番シンクロ率が高い。

 

※ 笑い待ち:笑っている間に次のセリフをしゃべってしまうとお客様が聞き取れないので、客席の笑いが少し納まるのを待つこと

 

腕の立つ師匠たちは、客席の整え(良い環境づくり、落語家との関係づくり)をマクラの段階でしてしまう。本編に入る前にその環境を創りだせちゃうんですね。そこがすごいところです。マクラを絶対にふりたい派ではないんですよ。すぐ噺に入りたいときも多いです。ただ、お客様には結果として100%以上満足してお帰りいただきたい。そこですね。

 

― 意外です。笑二さんはマクラを振りたい派なのかと思っていました。

 

よく言われます。

 

― だって、ウケますもん。マクラ。ものすごく面白いし。マクラを振りたい派だと思っていました。

 

 

ありがとうございます。でも、そうでもないんですね。す~っと噺に入りたい。でも、それだとお客様に不親切かなとも思うので。

 


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。笑二さんの素顔、そして本音。

 

立川笑二 独占インタビュー(1)

立川笑二 独占インタビュー(2)

立川笑二 独占インタビュー(3)

 

立川笑二 独占インタビュー(5)

プレゼントあり!「くがらクイズ」 笑二篇

 

※ なお、2016年当時「第9回くがらく 立川笑二インタビュー」ページはこちらです。2年前の笑二さんと今の笑二さん。読み比べてみてください。