春風亭昇々 独占インタビュー(4)

新作の未来を担う新ユニット。最近、「ソーゾーシー」が騒々しい。

― 今日「ソーゾーシー」のTシャツ着てらっしゃいますけど、「ソーゾーシー」はそこらへん(インタビューの2を参照ください)をぶち壊すみたいな意味で集まったというところはあるんですか?

 

新作やってるのが亜流みたいな風に思われてる状況がちょっと…とは思っていました。

 

― そのような認識のされ方が許せないという感じ?

 

落語をやってたら、創りたいと思うのも普通の感情じゃないかと思うわけです。「創って、そして演(や)る」って当たり前のことだなって。落語の技術を身につけたら、あとは創るってことかなって。いろいろ考えた結果として古典落語を演ってるならわかるんですが、「みんなやってるから(何も考えずに)当たり前にやるもんなんです」って感じは、ちょっと…って思います。それもいいんですが、新作をもっと敬ってほしいとも思います。

 

― 「ソーゾーシー」の名前の意味は?

 

いろんな意味があります。「騒々しい」とか「騒がしい」とか。みんなで集まって赤坂のレッドシアター近くのルノアールでみんなでいろんな案を出しあって、結局LINEで決めたんです。吉笑くんが言ったのかな。忘れちゃった。みんな、面白がってやってます。基本的には楽しいからやってます。(スマホ見せながら)いろんなの考えたんです。(だんだん決まっていく、その時の様子を)思い出してきた!そうぞうしいかなあ、そうぞうしいですよね、すてきやん、(生まれる瞬間をみました!)そうぞうしいがいいって、みんな。それで決めたんです。

 

※ここで実際のLINE画面(みなさんでのやりとり)を見せてくれました。

 

ソーゾーシー:上記に加え「想像の海(sea)」という意味も。落語家の春風亭昇々、瀧川鯉八、立川吉笑、浪曲師の玉川太福の4人による今話題のユニット。4人が4人とも唯一無二の際立った個性を持つ。進取の気性に富み、その相乗効果や展開から目が離せない。

 

― 活動が新しい、今風ですよね。みんなでのドライブシーンをアップするとか。視聴者とコミュニケーションしながらホワイトボードの前で語るとか。「成金」という大人気ユニットの一員でありながら「ソーゾーシー」でも活動されてます。そのへんの違いとか関わり方というか楽しみ方というか。

 

「成金」はなんとなく入っているんですよね(笑)。最初、金曜日に落語会やろうって、「なら俺も参加しまーす」と。結果的に注目してもらってよかったなあという。「成金」は他のメンバーに引っ張ってもらって受動的にやっているんですが、「ソーゾーシー」は逆に能動的に関わってますね。自分で声をかけて能動的に活動しています。

 

― 鯉八さんには昇々さんがお声をかけたんですか?

 

はい。最初、吉笑くん(※)と2人でやろうって言って、吉笑くんに「他には誰がいい?」って聞いたのかな。僕も鯉八兄さんがいいな・入って欲しいなと思っていたので、続いて大福さん(※)にも入ってもらって。

 

瀧川鯉八(こいはち):瀧川鯉昇一門。第一回・第三回渋谷らくご大賞。前代未聞の不思議な鯉八ワールドは一度はまると抜け出せない。誰も見たことも聞いたこともない新作落語の完全る新境地を絶賛開拓中。

 

立川吉笑(きっしょう):立川談笑門下一番弟子。入門後 わずか1年5ヵ月で二ツ目にスピード昇進。倉本美津留(『ダウンタウンのごっつええ感じ』等を手掛ける稀代の放送作家)に見いだされるほどの才気。ギミックに富んだ唯一無二のオリジナル落語の使い手。

 

玉川太福(だいふく):「関東節」を唸る若手浪曲師の一人。第1回渋谷らくご大賞(創作大賞)を受賞者。国本武春亡きあと、浪曲の未来を担う最筆頭。

 

― 「ソーゾーシー」で今後こんなことを考えてるとかありますか?

 

8月は末広亭でやって9月からはユーロスペースで落語会。去年は結構いろいろやったんですよね。ネットのと。映像作るみたいな。まあ今年もちょこちょこできたらいいと思うんですけど。

 

― 一般人がライブに視聴者参加できるのは楽しいと思いましたけどね。

 

ネットのやつですね。ただ、あれ作るの大変みたいで。作ってくれてた人がもう無理って(笑)。で、できなくなっちゃったんですけど。あれは、やってくれたら有難いですけどね。

 

― 文治師匠も参加型のネットのコンテンツみたいなのされてた(※)時期があったんですよね。みんながつぶやきで参加するみたいな。

 

※ ネット落語会で落語の新しい楽しみ方が実現 「十一代 桂文治ネット独演会」をニコニコ生放送で中継~高座の後ろにリアルタイムでコメント表示、楽屋中継も~

 

いいですよね。今みんなネット使うし。スマホ見てるから。スマホでみんな落語とか見ていたらいいなと思いますね。

 

「枝雀師匠も同じこと言ってましたね。『自分は羊飼いだ』と。」

― どう変わったのでしょうか。昇々さんのどこに注目してみると、その変化にお客様は気づくでしょうか。

「そして今、落語の作り方が180度変わりました。ソーゾーシーどうなるか、是非いらしてください。」(2018年07月01日より)

 

大事な順でいうと、まず「ストーリー」で、次が「くすぐり(※)」かと思っていたんですけど、くすぐりを大事にしよう、全く逆の、そこでくすぐりを言うためにストーリーを作ろう、と変えたんです。それまでは「このくすぐり、面白いけどストーリーに合わないから捨てよう」みたいに思っていました。けど、そうじゃなくて「くすぐり」がいっぱいあったら、それに合わせてストーリーを作る、みたいな風に考えを変えたというか。

「落語を作るのも人物、ストーリー、くすぐりだったのが、今はくすぐり、人物、ストーリーの順になってる。くすぐりが最後だってあれほど言ってたのに(専門学校でも教えてた)。」(2018年06月30日より)

 

※ くすぐり:噺の本筋とは関係のない駄洒落など笑いを誘うパート。ギャグと言う人もいるし、くすぐりとギャグとは違うと語る人もいる。

 

― そう思われたのはなぜですか?

 

村上春樹の小説読んでそういう風に思って…

 

― 村上春樹のどれですか?

 

カフカかな。「海辺のカフカ」を読んで面白かったので、それからいろいろ読み始めたんですよね。何冊か読んだことはあったんですが、改めて勧められてカフカを読んでみて改めて面白いなと。いいなと思うとその人のこと調べちゃうんですよ。まずウイキペディアでどういう人生を辿ってきた、みたいな。その人のインタビューとかあったら必ず読むし。その人のエッセイとか読むし。基本的に全部読んじゃうんです。

 

― カフカではまって、マラソンも始めたってことですか?(村上春樹はマラソンランナーとしても有名)

 

そうですが、そうだって言うと恥ずかしいので(笑)。どんだけ影響されてるんだよ!みたいな。だからあんまり言いたくないんですけど(笑)。

 

― 私もマラソンを始めた時には村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」を読みましたよ。周りの先輩ランナーたちが全員読んでいまして。がんがんに勧められました(笑)

 

あれを読むと、走んなきゃ!って思いますよね。

 

― 思います。昇々さんと同じで、私「宮内悠介」さんも読んでまして。

「宮内悠介さんの彼女がエスパーだったころなんですが面白いです」(2018年07月22日より) 

 

本は結構読みますね。一週間に1冊くらいかなあ。スマホで読むとすごい読めますよ。ランニングも読書もどこでもできるっていうのがいいですよね。映画に行くとなると映画館に足運ばなきゃいけませんが、読書はどこでも電車でも。

 

― 最近お休みはなにしてるんですか?お休みありますか?

 

毎日仕事で毎日休みみたいなもんなんです。だから「あー今日休みだ!」みたいなのはあんまりなくて。結局、走って本読んでみたいな感じです。でも3日休みがあると旅行に行くことが多いですね。バンコク行ったりカトマンズに行ったりするんですよ。別にどこでもいいんですけど、東南アジアが近いので。あんまりリゾート地みたいなのは興味ないんです。

 

― 次に休みがあったら行ってみようと思うところありますか?

 

一番行きたいのはゴーギャンが暮らしていたタヒチ。あとはイースター島とか行ってみたい。マダガスカルにも行ってみたいです。インドは行ってみたい。でも結局行けなくてカトマンズにしたんですが。

 

― どんな落語か、教えてください。あるいは、どこで見れますか。昇々さんの“30代の落語”

「やっと自分の30代の落語が見えてきた。どんなに忙しくても、今年中に完成させてみせます。」(2018年04月29日より)

 

自由自在にできそうだと思っていたときのブログ発言ですね。できそうになったと思ったらこうなって、でもこうなりながら進んでいくという…常に稽古してないと忘れちゃうんですよね。僕はほんと頭悪いから、落語のやり方すら忘れちゃうんです。やってないと。中学校の時の勉強、高校の時の勉強を忘れちゃうように、同じように落語のやり方も忘れちゃうんです。だから、やり続けていかないと…。

 

― 完璧主義なんじゃないですか?

 

そうかもしれませんね。枝雀師匠(※)も同じこと言ってましたね。「自分は羊飼いだ」と(※)。僕も羊が逃げないようにしている。

 

桂枝雀(しじゃく):上方落語の名跡。天才でありながら努力も欠かさなかった不世出の落語家。『東の志ん朝、西の枝雀』と称されることも。数々の名言の他、次のような独自の落語理論を唱えたことでも有名。例えば、緊張していた場が緩和することによって笑いが生まれるという「緊張の緩和理論」、あらゆる落語のサゲ(オチ)は4種(「ドンデン」「謎解き」「へん」「合わせ」)に分類できるなど。

 

※ 枝雀師が遺した言葉。『落語家は羊飼いや。羊(作品)は毎日世話せんと群れから離れてしまう。離れた羊を元に戻すのは大変やで』 出典:【桂文枝】次代捜索 「創作落語300作」に挑戦中

 

― 余計なお世話ですが、あまり自分を追い込まないようにしてくださいね

 

よく言われますが、自分は結構精神力が強いとは思う。こう見えて、あまり悩んだりしない。忘れっぽい。いやなことがあってもすぐ忘れちゃう。だから、続かないという反面(デメリット)も(苦笑)。

 

― 安心しました。

 

(落語をするには)力を抜かないといけない。力をガッ!って入れる人いますけど、僕の理想とは違う。一之輔師匠(※)は力抜けてるんですよね。鯉昇師匠もそう。そこは、うちの師匠とはちがうところかなと。力を抜くことが目標です。意識してやってる。うちの師匠にはうちの師匠なりのルールがあって、それはそれで素晴らしい。僕なんかが感じてる理論もあてはまらないほど、すごい別個の存在。そのやり方はもう、うちの師匠しかできないこと。

 

※ 春風亭一之輔(いちのすけ):2004年、先輩の噺家を21人抜きして真打ちに昇進。NHK新人演芸大賞落語部門大賞受賞など数々を受賞。言わずと知れた当代切っての人気若手落語家。飛ぶ鳥を落とす勢い。

 


チラシ掲載の文章は、インタビュー記録からの抜粋です。全文は、ここでしか読めません。ぜひ、読んで感じて知ってください。昇々さんの素顔、そして本音。

 

春風亭昇々 独占インタビュー(1)

春風亭昇々 独占インタビュー(2)

春風亭昇々 独占インタビュー(3)

 

春風亭昇々 独占インタビュー(5)

春風亭昇々 独占インタビュー(6)

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